パズルネタの牛茂夫×兎律です。義理兄弟のややハードなラブラブ初夜。
タイトルはこんなのですが真面目にカップリングしてます。一度こういうタイトルをやってみたかったお年頃でした。
ここはのどかな北の大地に位置する、波図留(パズル)牧場。シゲ、またの名をモブと呼ばれる、大人と呼ぶにはやや未熟な牡牛が一頭、それはもう平和に暮らしている。
「はあ……ひまだなー……」
と、今日も空に浮かぶ雲の数を数えては、草を食んでいた。
「おい、モブ!」
「うわっ……って、師匠じゃないですか。急に現れるのやめてくださいって言ってるじゃないですか」
足元から声がして飛び退くと、一匹のネズミがやってきていた。シゲより賢くて頼りになる、牧場の先輩だ。アラタカと名乗っていた気がするが。シゲは親しみと尊敬を込めて、なによりそう呼べと言われたので、師匠と呼んでいる。
「どうしたんだ、溜息ついて。お前に悩むようなことなんて何にもねえだろ」
「そう……なんですかね」
「豊富な飯、ふかふかの干し草、俺は駆けずり回って揃えなきゃならないものをぜーんぶ持ってる。だろ?」
「師匠は僕のところから持っていくじゃないですか」
「そ……それはほら、お前の勉強代として正当に! 受け取っているだけだ」
「うーん……」
シゲは分かったような分からないような、何とも取れるようで何も考えてなさそうな顔をしている。
「で、どうしたんだ? いくら平和だからってそこまでの間抜けヅラは無いだろ。さては。お前……何かあったな?」
「ど、どうして分かったんですか?!」
「ふふん、俺は大人だからな」
師匠は得意げに続ける。
「コイツのことだから……あれしか無いだろ……じゃなくてええと、それは、そう! 弟分のことだろ」
「ええっ?!」
茂夫はびっくり仰天しすぎて声が上擦っている。
「まあな、俺くらいになればそれくらいは当然だ。で、弟がどうしたんだ」
師匠ネズミは牧草の詰まった飼い葉桶の上にちょろちょろと登るとどっかり、座り込む。口を割るまで意地でも退かないつもりらしい。仕方なしにシゲはぽつぽつと話し始める。
「いや、あの……師匠のお陰でいい感じの関係になれたとは思うんです。リツ……ええと弟、も。最近は兄さんって呼んでくれて。でも本当にそれで良いのかなって。本当に、僕で良いのかなって」
「ほう?」
「リツは、僕と違って賢くって、ふわふわで色もかわいくてみんなの人気者だし。僕なんてひとつ先に産まれただけで、ぼんやりしてるし何もできないしお乳も出ないし。何も良いところなんて無いのに」
どんどんと俯き加減になりながら呪詛のように呟き始めたシゲを見て、アラタカはパチリと指を鳴らした。
「いいか、モブ。リツはお前だからこそ、お前を兄貴にしたいと申し出てくれたんだ、そうだろ?」
「どうなんでしょう……」
「そこはしっかり自信を持て。じゃないとお前を認めてくれたアイツに失礼になると思わないか」
「そうか……そういう考えも、できるんですね」
「そうだ。だから今度はお前の番だ」
「ぼ、僕の?」
「そうだ。今度はお前がアタックする番だ。ドーンと良いところを見せる……と言うのはお前には無理そうだからな……。兄貴分として弟にしっかり好意を示すんだ」
「好意……ですか」
「難しく考えなくて良い。お前はアイツのこと、かわいくて大事な弟だと思ってるんだろ?」
「はい」
茂夫は食い気味に頷く。
「その想いのまま、接すれば良いんだよ」
「想いのまま……なるほど」
茂夫の黒い瞳が輝く。想いのまま、接する。そう言われればなんだか自分にもできる気がしていた。やっぱり師匠はすごい。いつだって名案をくれるのだ。
一方で。講釈を垂れたネズミさんは飼い葉を漁りながら「おっ今日はコーン入りじゃねえか、ラッキー」などと一人、呟いて去っていった。
■
月明かりの夜。待ちわびていた来訪者の足音がする。垂れ気味な大ぶりの耳をそばだてて、待ちきれなくなって尻尾をぱたりと一度、しならせた。
「リツ!」
「兄さん! こんばんは。遅くなってごめんね」
「ううん、ぜんぜん」
現れたのは一羽のウサギ。シゲより一つ年下の彼の名をリツと言った。
「ごめんね、柵抜け出すの手間取っちゃって……」
「ううん、僕の方こそ、不器用で……僕だってリツの方に会いに行きたいのに……」
「いえいえ! ……じゃ、なかった。そんな気にしないで。……兄さん」
そう言ってリツはふあふあの体を寄せてきた。その温かな身体をシゲは蹄の手でそっと抱き寄せた。シゲはウシとしては発育が悪い方であるが、リツはそうでもないらしい。それでも、種族による大きさの差が勝り、シゲが包み込むような形となる。
自分より一回り小さな「弟」は、抱きしめると心臓の音がして、たまらない気持ちになる。だから。
「リツはかわいいなあ……」
さっそく、思うがまま。顔を埋めて芳ばしい匂いをいっぱいに吸って、口に出して素直に。想いをそのまま伝えることにした。のだが。
「――――??!」
相手はびくり、と体を震わせたまま、動かなくなってしまった。
「えっ、と……リツ……?」
こわごわ、と言った形でシゲは確認を取る。
「えと、その……なんでも、ないよ……」
腕の中のそのひとの胸は、ばくばくと早鐘を打っている。さらに、身体もちょっと、熱いかも。
「たいへんだ、リツ。具合悪いの? 心臓も早いし、熱もあるみたい……」
「い、言わないで……!」
リツはそっぽを向いて言った。その長い耳は真っ赤に染まっていたのだが、自他共に認める鈍感なシゲが、気が付くはずもない。
嫌われただろうか。シゲに浮かんだのはそんな懸念だ。やっぱり僕じゃだめだったんじゃあ。絶望しかけて放心して、でもその隙にも、リツは逃げようとはしなかった。だから、少し余裕が出てきたシゲに次に浮かんだのは腕の中のリツの毛並みの柔らかさ。そして心に響いたのは尊敬する師匠の言葉。「その想いのまま、接すれば良いんだよ」であった。
ふあふあで、滑らか。僕にないものを全て持っている、僕を兄として慕ってくれるただ一人の弟。その愛おしさと感触の気持ちよさのまま。シゲはリツの腰を長いストロークで撫ぜた。
「ひぅぅぅぅ…………」
リツは言葉とも言えないなにか、呻きを発している。
「ご、ごめ、嫌だった……?」
シゲは今度こそ青くなって尋ねる。が。
返ってきたの意外な言葉だった。
「続けて……下さい……」
振り返った瞳にはうっすら、涙の膜が浮かんでいて。何か恨みごとの一つでも言ってやりたいというような顔である。
それを見てシゲは、胸の奥にずくりとした、湿った疼きを自覚した。それは生まれてこの方味わったことのない、何か呼び覚まされるような、頭がぼんやりするような、自分が自分でなくなってしまうような。そんな不安定な感覚だった。
ゆっくり、ゆっくり。優しくリツの腰を撫ぜる。撫ぜるごとにウサギの体はぐにゃぐにゃと柔らかく伸びていって。ふうふうと漏れる吐息が熱を帯びてきた。
「リツ。辛くない?」
ていねいに確認する兄の言葉に、頷く弟の体はもう、くたくたに蕩けていた。その様子をつぶさに、目の当たりにしてしまって。いよいよシゲは、自身の身体に異変を感じていた。
具体的にはシゲ自身の、だいじなところ。
「あ、う……その、リツ? 何だか僕も身体……おかしくなっちゃったみたい……」
いつの間にかシゲの鼓動も速く、頬は燃えるように熱くなっている。何よりも。股間のそこから、高々と赤いペニスが突き出していた。
そのことに、聡くて、飲み込みの早いリツが気付いていないわけがなかった。
「その……兄さん……?」
手を止めた兄に、リツは様子を窺う。でもその視線は、そそり立つシゲのものへと吸い寄せられていた。
「その、僕なら治せる……かも……」
おずおずと。しかし熱に浮かされて輪郭の滲んだ瞳をして、申し出た。
「えっどうやって?」
「それは……こうやるんだ」
意を決して。リツはシゲの股の間へとかがみ込む。
「ちょ! 何してるの、リツ……」
「大丈夫。僕もその、自分の、たまに。いじるから……」
「えっ? え?」
混乱で頭がいっぱいのシゲを置いてけぼりにして、リツは、頭をもたげた「兄」の中心に手を添えた。
リツが、言うからきっと大丈夫なんだ。そう言い聞かせながら、でも未知の刺激に緊張は解けなくて、眼下を見ると、ゆっくり、確かめるように。茂夫のものを撫で擦るリツが居た。
「その、おしっこのところだから、汚いよ?」
「そんなことないよ。……良いなあ、やっぱり僕のよりずっと大きいや。痛くない?」
「う、うん……。痛くはない、と思う、けどなんかムズムズするよぅ……」
「……よかった。僕に任せて。力抜いて、そのまま。委ねていいよ」
「分かった……」
従順にシゲは力を抜こうとした。大きく息を吸って、吐いた。ムズムズはどんどん大きくなって、ビクビクと、そこだけ別の生き物になってしまったように脈打ってきた。未知の感覚にたまらなくなって逃れるように身動ぎする。
と、リツは追いかけるように抑え込み、あろうことか。シゲの屹立をずっぽり、咥えこんだ。
「ひーー?!」
突然の粘膜接触に、シゲは引き摺るような吐息を漏らした。痛いような、でもきっとこれは、痛くないらしく。訳が分からないまま腰を浮かせる。ずっぷ、じゅぷ、ずろずろと、耳を覆いたくなるような水音が聞こえるが、とても、確認する勇気は出なかった。
「あうぅ、ぅ、ぅぅ、ふ……」
「いーはん、ひもひいい?」
「しゃ、そのまま、しゃべらないでぇ」
リツはそこで動きを変える。舐め取り、さするような生易しいものではない。ずぽ、と咥えこんだまま、頭を前後させる。
そういえば聞いたことがある。女の子の牛たちは将来されると聞く「乳搾り」。おっぱいを絞ってお乳を出すのだという、あの機械のようだとシゲは思った。そんな考えも束の間のこと。
「あっぁう、う、うう♡ は、ぁぁ、ぁっ……?! あーっ、はっはっはっ……ぁぁ、ぁっ……♡」
シゲの身体に電流が走る。ばくん、びくんと少年の身体をうねらせて、もう、なんにも分からない。
牛生始めての射精だった。
「はーっ、ひぃ……はぁ……♡ な、なにこれぇ……」
「にいさん、どう?」
そういって覗き込む最愛の弟の顔は、白濁した、得も言われぬ匂いの、白濁液まみれだった。
「っは! リツどうしてそんな……えっこれ、もしかして僕から?! ええっ!」
「おめでとう、にいさん」
そういうリツのほほは真っ赤に染まってもう、たまらないというようにへこ♡ へこ♡ と腰が揺れていた。
「精子だよ」
「せー、し」
初めての射精後の虚脱感に浸るシゲにリツが抱きつく。そして唇を合わせてきた。生々しい残り香にやや引き気味に、でも弟の求めには応じたいシゲは真似して唇を差し出す。ちゅむちゅむとついばみ合うような、愛らしい接吻をして、目と鼻の先にあるたいせつなひとを見て、二人は笑った。しかしそれは、もう、仔らの無垢な笑みではない。本能を呼び覚まされた雄と雄の、けだものの熱を帯びていた。
「ね、ねえ、もし兄さんさえければなんだけど……」
リツは重大な提案をするように、一拍、息を吸った。
「この先もやってみない?」
「先……?」
「その、聞いたことがあるんだ。僕たち、オス同士でも種付けできる方法があるって」
「種付け……?!」
茂夫はびっくりしすぎて、しばし絶句した。
「そう、あれ……」
「僕たちが? ……だいじょうぶかな、まだ早くない?」
「大丈夫だよ、兄さんのこんなに立派だもん。……僕も、がんばるから」
そう提案するリツのまなざしは、しかし有無を言わさぬ意志が灯っていた。
「分かった。どうすればいいの」
そうして。応じたシゲの方もまた、身体は正直に、精通を迎えたばかりとは思えないほど赤々と、脈を這わせて、天を衝いていた。
どうして良いかさっぱりわからないシゲをよそに、リツはごろりと横になる。そしてリツも、自身のものを取り出して片方の手ではそれをしごき、あろうことか。もう片方は。後ろの方、不浄の穴をいじり始めた。
「な、なにやってるの?!」
「兄さんのがここに入るんだよ。僕もやったことはないけど……けど大丈夫。しっかり、解せば。いいらしいから……」
ふうふうと、自分の指とは言え慣れぬ異物感を逃しながら、律は答えた。入念に自分の指に唾を付けながら。肉の輪を丹念に揉んでいた指先はそのうち輪をぐぐ、とくぐり抜けている。慣らすようにぐるりと、一周。広げるように人差し指をくねらせ、やがて、そこに中指が加わる。そしてちらちらと見えてくるのは、燃えるような緋色の、粘膜の色。
見てはいけないものを見ているような背徳感も確かにあった。だがその光景から、シゲは目を逸らせなかった。
「出来た。と思う……」
リツは、最後にたっぷりと唾液を含ませて、三本指で粘膜を割り広げて、糸引くナカを見せつけた。
それでもシゲは動けない、いや動くことが出来ない。この期に及んで、どうして良いやら分からなくなっているのだ。
見かねたリツが声をかける。
「兄さんこっち来て。もっと近く。そう。そして兄さんのを……ここに挿れるんだ」
「本当に? 本当に……良いんだね?」
「うん。大丈夫だよ」
しかし、そう言うリツの表情が緊張でやや固いことにシゲはもはや気付けない。識らなくても分かってしまうのだ。
ここに突っ込んだら、間違いなく、気持ちが良い。
尖り気味の先を、誘導されるがままぐ、と突き入れる。入り口こそ抵抗があったが、超えてしまえばそこは肉の園。じゅぷ、ぬぷぷぷ……♡ と、沈むように咥え込まれる自身のものに伝わるぬめりを帯びた摩擦感と薄い粘膜越しに直に伝わる体温とに、シゲの理性は燃やし尽くされていた。
肉壁のうねるのに誘われて、是非もなく、腰をうずめる。生まれて初めての侵入者排除のための蠕動運動も、もはやオスをいざない、しなだれかかる媚びた肉の波に過ぎない。
「うううぅぅぅぅぅーーーー……」
シゲは唸る。その声が大人びて低くて。異物だけでももう、十分に圧迫感に泣くリツの臓物が、いっそう重くなる心地がした。やがて最奥にぶつかり、おろおろしたシゲが問う。
「うう……リツ、この先は、どうしたら」
「ゆっくり、引いて……」
「うん……」
シゲは陰茎を引き抜く。それはもう、焦れるような速度で。
「ひうぅ……」
強制的に加えられる排泄感を堪えながら、しかし目を逸らすわけにも行かず、リツは結合部を見つめる。
「そう、ふぅ……それくらい。そうしたら。もう一回、入れて……」
「分かった……」
ゾリゾリと、リツの中にまたシゲが入ってくる。苦しい、ハッキリ言って快か不快で言ったら不快の域だ。でもそれでいて、癖になるような気がしていて。リツはまるで自分が「変態」というやつになった気がして。誘ったのは自分のくせに今更、羞恥が押し寄せていた。
シゲとていっぱいいっぱいだ。引けば引いたで惜しむように絡む柔襞、入れれば入れたで迎え入れられる蜜壺の温かさ。ゆっくり、ゆっくり。言われた通りを繰り返せば繰り返すほど、押し寄せる雄茎への甘い衝撃。本能を串刺しに直撃する悦楽。元より、直感には素直に従う方だ。思考はとうに塗りつぶされて鮮烈な快楽に浸っている。
シゲのものは、率直に申し上げて、大きい。ウマ並み、なんて言葉もあるが。ウシ属のそれも負けずに劣らぬご立派様だ。そんな物を小柄で華奢なウサギ族の胎内に納めるのだ。いや、収まりきってはおらず、臓物のSの字に折り返した行き止まりにさっきから、緩やかにではあるが、ゴツゴツと凶器のようなそれをぶつけられている。初物に叩き込むには耐え難い肛虐に次第にリツの呻き声は濁っていった。
「ゔ、ゔゔ、ぅ、あ、あ゛っ」
「はぁっ♡ はーっ、は♡ はぁああ♡ あっ」
それで居ながらリツは、充足していた。自分の上で、あの兄が。純情でひたむきでおだやかで穢ないあの兄。兄となってほしいと頼み込んだあの、シゲが。自分を、自分だけを求めて。剥き身の欲で腰を振っている。
それは何物にも耐え難い幸福だった。例え規格外の巨根に、自分の肛門を差し出したとしても。
「リ、リツ……」
遠慮がちにかけられる声で、チカチカと星が飛び始めていたリツの視界が像を結ぶ。
「どうしたの、にいさん」
「その……もしかして、ぼくの、もっと奥まで入ったり……する……?」
「えっ」
牧場の中でも、いっとう物知りなウサギは識っている。肛門性交で用いるのは主には直腸だ。腸であるから、当然その奥にも管は続く。しかしそんな。くびれた管のさらに奥になんて。あの怒張を飲み込んでしまったら、僕の身体は一体、どうなってしまうんだろう。分からない。これ以上はさすがのリツにも分からなかった。が、何か恐ろしい予感はして、理性は警鐘を鳴らしていた。
でも。物欲しげな兄を目の前にしたリツの回答なんて、とっくに決まっていた。
「いいよ」
リツは言った。手にはびっしょり、汗を握りながら。
「ゆっくり、そうゆっく、うゔ……あ゛……」
「ふぅぅ……」
お互いに、息を吐きながら、結びつきを強めていく。はくはくと、何か、助けを求めるように唇をわななかせるリツに、シゲはそっと口付ける。そしてぐぐぐ……と腰を押し付ける。
ある瞬間、何かが。リツの中で抜けた。腰がじんわりと温まるような、脳みそがじゅわーっと蕩けるような。半開きの口角から、馬鹿になってしまったようにヨダレがとろとろ溢れることに気が付いていない。
「リツ……リツ?」
さすがのシゲもその変化に気づいた。
「よかった……リツもきもちいいんだね」
リツに関してはいつだって大正解をひく義理の兄だ。正しい判断の元、さきっぽをリツの奥の奥まで埋めたまま、くぽくぽと扱き始めた。
「あ゛あ゛ぁぁ♡♡ あっあん♡ ゔぁ゛♡ お゛っ♡♡ お゛ぉぉ♡」
「はあ♡ あっ♡♡ リツ、ふーっっ♡」
リツから、およそ知性ある生き物が発していいとは思えない喘ぎがあがるのを、シゲだってあまり観察してもいられない。
シゲもまた必死だった。深まった結合により根本までをじゅっぽじゅっぽと余さず愛撫されてもう茎ごと持っていかれそう。それに必死に堪えながら、気持ちよさそうに白目をむくかわいい弟を、満足させたかった。ただ具体的にその様子を窺う余裕はとうに無くなっているのだが。
「リツ♡♡ はっ、は♡ かわいい♡♡ リツ♡♡♡」
「ヴー! ♡ あ゛っお゛お゛♡ かはっ、はーっ♡ はっはっはっはっ…………あ……は…………」
いつの間に、リツの声は止んでいた。ぐったりと脱力した仔ウサギの身体をぶら下げるように抜き差しして、ウシは二度目の射精をした。
最愛の弟を壊さないようにゆっくり、ゆっくり竿を引き抜く。奥のその奥まで。撒かれた子種はこぽぽ……と音を立て溢れ出てくる。すっかり緩んでしまったらしい後口の昏いナカから、後から後から。
「むう……ぅ……」
「リツ……?」
「ぅぅ…………」
気がついたのかと思ったが、弟はかすかなうわ言を言ってまた、安らかな泥の眠りへと落ちていったようだった。
「リツ、リツ。リツが僕の、弟。だいじな弟。ふふ……」
思うがまま口にする。月明かりに照らされたリツの頬を見て、シゲは今、世界で一番美しいものを見ている、と思った。それも僕だけの、専用の、特別。それがこんな素晴らしいことだなんて。
リツと兄弟になれて良かったと、シゲは思った。