ミッドナイトハイティー

・本作品は「ハロー*スイートワールド」よりしばらく時間が経過し、セックスが日常となった頃の最赤を描いたものです。

・そのため、フォーク赤松×ケーキ最原のケーキバース前提ですがケキバ要素は薄め。グロ要素はありません。一応、単体でも読めるはずです。

・挿入は最原→赤松のみですが、赤松さんが攻め気味であり、二人とも♡喘ぎ、濁音喘ぎします。最原の尻穴は守られますが潮を吹かされます。

 

 

 

 甘い夢を見ていた気がする。
 嗅ぎ覚えのある柔軟剤の匂いが鼻腔をくすぐる。まどろみにぼやけた意識。ここはどこだっけ。そんな疑問よりも先に触れるのは、ひとの体温。すうすうと、安らかな寝息が耳をくすぐり、顔をうずめていた胸板が呼吸のリズムを刻む。
 顔を上げる。暗闇に慣れた目が、彼の顔を克明に捉える。レースのカーテン越しに和らいだ月の光を透かして、目を閉じた彼のまつげは本当に、伸びやかに長くて、羨ましいくらい。ほんの少しいたずら心が湧いてしまったから。少しだけ、ちょっとだけならと、触れてみる。
「んうぅ……ん……」
 起こしてしまったかと、慌てて手を引っ込める。しばし待つ。すると、再びすうすうと、優しい息遣いが聞こえてくる。でも何となく、敏感な彼女の耳には微かに違和感があったから。万が一寝てたならば起こさないように、うんと潜めた声で、尋ねてみた。
「起こしちゃった……?」
「……ごめん。起きてた」
 少し迷うような、おずおずとした間をおいて、最原終一は応えた。その困ったような顔が可愛かったから。赤松楓は、彼の細身の造りをした頬に手を当てた。
「今、何時?」
 そう尋ねる最原の声は眠たげだ。
「うーんと……」
 赤松はスマホを取り出して、電源ボタンを押す。
「三時、だね」
「真夜中だ」
「すごいね、真夜中だねー」
 うひひ、なんて変な声で笑ったのはどちらからだろう。あんまり面白かったから、クスクス笑いはやがてけらけらと甲高いものになって。それすらもおかしくなって、二人のほか誰も居ないのを良いことに、あっはっはと声を出して笑いあった。

「お泊り、もう何回目だっけ」
「ひいふう……でも、泊まりはせいぜい片手で収まるくらいじゃない? 流石に私もそうしょっちゅうは泊まれないし……」
「あっ……無理させてたらごめんね?」
「ううん、私の家はいつも人が居るから。むしろこうやって終一くんのお家にお邪魔させてもらえて嬉しいよ。ありがとうね」
「とんでもないよ。でも、こうやって真夜中に二人共目が覚めるなんて初めてかも」
「確かに! いっつも寝る前で疲れ切って朝までぐっすりだもんね!」
 はしゃぐ赤松の言葉に最原は顔を赤らめた。赤松の手のひらに包んだ彼の頬がぽう、と暖かくなったから、ふにふにと揉み込んでみる。
「やーめてー」
「やなの?」
「いや……ではないです」
 最原の本心だった。彼女の手は、指が長い。一オクターブを悠々と掴み、白黒の野原を自在に駈ける手は、器用で繊細で、時に大胆だ。超高校級の五本指でむにむにと頬を揉まれるのはとても光栄で、何よりも、心地よかった。
 やわやわとした衝撃に心を蕩けさせていると、不意にふに、と薄い頬肉をつままれる。
「ん?」
「終一くん? なーに考えてるの?」
「ううん何にも」
「嘘。ニヤニヤしてた」
「えー」
 ほんとうに無意識だったんだけどな。なんて思いながら最原は、幸せが顔から漏れ出ていたことに恥じらいを覚えた。

 最原は、頬に当てられていた手に、自身の手を重ねて、指を絡める。最原のものよりわずかだけ小さな、頼もしい左手だ。それでいて骨組みは細くて爪は桜貝のように愛らしく、肌は色白で滑らかなのだ。愛おしい手を頬からそっと剥がして、指先に接吻した。
「ふふふ…くすぐったいよ」
 笑いをこぼしながら赤松は、寄せる唇を人差し指でふにふにと突いた。戯れに、割り開いて、前歯をなぞる。ふっと開いた歯列の隙間から指を潜らせて、あたたかな舌に指先をうずめてみる。ぬらぬらと赤い舌の真ん中を押し込めば、柔らかにへこむ。くち、と水音を立てながら、舌裏へ潜りこんで、舌の根まで辿って右から、左へ。ねっとりとなぞって、ゆっくり、指を引き抜くと、最原の口角から銀の糸がつう、と垂れてちぎれ落ちた。
「……どしたの、足りなかったの?」
「いや、そういう訳、では……」
 ぼんやりと最原は否定する。その瞳は涙の膜に潤んでいて、湿っぽい熱を孕んでいた。
 濡れた唇に、赤松はむしゃぶりつく。それは捕食するかのような勢いであった。よく知ったところ、舌裏の、最原の良いところへ潜り込んで、舌を吸う。絡ませた舌は一瞬、戸惑うように硬直して、赤松へと無遠慮に侵入してくる。
 やっとその気になってくれた。
赤松は内心ほくそ笑みながら、最原の唾液を啜る。幾度味わっても薄れることのない、脳髄まで染み入る甘露だ。粘膜が粘膜とこすれ合うぬるぬるとした感覚と相まって、痺れるように心地が良い。
もっと。もっと欲しい。貪食の欲が湧き上がって、理性を支配する。まだ舐め取っていないところ、ねぶっていない粘膜を求めて、歯の根をなぞり、頬の裏を舐め、再び舌をむしゃぶる。
 夢中で最原を「摂食」していると、とんとん、と軽く肩を叩かれた。ぼたぼたと、唾液を零しながら二人は離れる。腕の内に抱いた人はぜいぜいと息を荒げて、長いまつげまでしっとりと涙に濡らしている。
「舌、出して?」
「ん……れ……」
 お願いすれば、愛おしい彼氏は素直に舌を差し出してくれる。差し出された、真っ赤なごちそうを目の前にして、赤松は落ち着けと言い聞かせながら、舌と舌とをピタリと合わせた。広く面をすり合わせて、舌先をちうちうと吸う。キスにも満たない他愛のない戯れ。でもこれが赤松のお気に入りであった。
 そして、すっかり「始まり」前の儀式となった、日課でもあった。

「あっ、勃ってるー」
「ちょっ、ちょっ」
 トランクスを、パジャマのズボンごと引き剥がすと、既にかなり元気なものがお目見えした。彼も興奮してくれていたらしいことが単純に嬉しくて、赤松はいいこだねえ、と先っぽにキスを落とした。
「あ、赤松さん……」
「かえで」
「か、かえ……」
 きゅ、と彼のものを握り込んで赤松は迫る。
「誰も居ないときくらい名前で呼んでって、言ってるでしょ?」
「楓……」
「うん、終一くん」
 よくできました。そうは口には出さないけれど、ご褒美とでも言うように赤松は、ぱくぱくと口を開ける鈴口を握り込んだ。
「あーっ、はっ、ああ、」
 最原の腰がごそりと揺れる。目を細めてその様子を観察しながら赤松はしこしこと、竿の両脇を扱き上げる。なめらかな指先はリズミカルに扱き上げながらみっちりと絡みついて、五本指は自動演奏されるかのようにバラバラに動き、着実に最原の中心を追い立てる。はっはと、みっともなく息を切らしながら、せり上がる射精感に身を任せそうになったとき、指揮者が合図をしたかのようにピタリと指が止まった。
 どうして、なんで。最原は思わず口に出しそうになりながら、その意図は分かりきっていた。そんな彼を愛おしそうに見つめる赤松には悪意が全く無い。
「気持ちよかった?」
「うん、うん」
「もうちょっとシコシコ、する?」
「うん……」
 縋るように頷くと再び、ゆっくりと、指が動き出す。親指の腹まで使って、器用で繊細で、そして大胆に。最原の弱いところなど、よく知っているのだ。
「ひっ、あう♡、うーっ、あっ」
 最原は声を抑えない。抑えている余裕がない、という方が正確であった。喘ぎをだだ漏らして快楽に浸っているとまた、指が止まる。
「ふっ♡、ふう、ふ、♡、」
「すごいね、お汁出てるよ?」
そう言って赤松は、鈴口から透明な液を拭い取ると、最原の目の前で指をすり合わせて糸を引かせた。
「赤松さん、意地悪だよ……」
「か、え、で」
「……楓のいじわる」
 拗ねたように最原は言いながら、腰をかくかくとくねらせた。
「すごーい。ビキビキだね……♡」
 人差し指で弾きながら、赤松は感想を述べた。血管が浮くほど怒張した竿、かわいそうなほどに赤黒く腫れた亀頭、せり出した雁首。自身の手によってすっかり「出来上がった」ものに赤松は、頬ずりした。
「かわいいー食べちゃいたいなあ」
「勘弁してよ……」
「分かってるって」
 こっちでしょ? と赤松は、ナイトテーブルに放り出しっぱなしのコンドームを拾い上げた。僕が、と制した手を無視して、封を開ける。
「すごいね! 本当に嘘みたいなピンク色だね!」
「それしか無かったんだってば……」
「ほんとにー?」
「……あとはイボイボか、光るやつ」
「光る?! なにそれ?」
「蓄光で光るらしいよ……先っぽだけ」
「あっはは! なにそれ! こんな暗がりで先だけ光ってたらかなり面白いね!」
 呑気に会話しながら赤松は、慣れた手付きで薄いゴムを巻き下げていく。その刺激だけでも達しそうになって最原はふるる、と身震いした。。
 最原はずいぶん楽しそうな彼女を見つめながら、前ボタンを外してパジャマを開ける。顕になったのは肋の浮いた細身の胸と、青いほどに白い肌に浮いたいくつもの、鬱血の花弁だった。
「うわー」
「うわーって……楓、が付けたんでしょ……」
「だって最原くん、美味しいんだもん……嫌だったらいつでも言ってね?」
「全然。シャツ着てれば見えないし……こんなことでいいならいくつでも付けていいよ」
 赤松は、最原の胸板の真ん中より少し左のあたり、どくどくと、大好きなひとの命の旋律流れるそこに付けられた歯型を、上書きするように口付ける。
「いいよ、来て……」
 赤松はベッドに仰向けになり、両の腕を広げる。最原はその豊満な腿を持ち上げて割り開き、何の遠慮もなしに、花裂へと一思いに突き立てた。
「あああああーーーっっっ♡」
 赤松の身体が跳ねる。ビクビクとつま先が引き攣れて、掴んだ太ももの筋が暴れる。ブラジャーに覆われていないたわわな胸が上下に乱れる。
「挿れただけでイっちゃったんだあ?」
「はーーーっ♡、はあーーーーー♡」
「ずっと興奮してたの? ……挿れられるところ、想像してた?」
「あっあん好き、好きい♡ 最原くん、大好きぃ……♡ もっと、もっと来て……♡」
 赤松が媚びるように煽ると最原は、分かりやすく目の色を変えた。赤松は知っている。彼氏は、「もうダメ」と言ってからの保ちが良い。
 そしてスイッチが入ると、かなり、ねちっこい。

 雁高のものを膣ひだに引っ掛けながら、抜けかけるほどまで、ずろろと引き抜いて。ねっとりと、赤松の良いところを怒張で押し広げながら、奥の方まで突き挿れる。
「あっやめ、あ♡♡ も、イって、イっちゃあ、あ♡」
「嫌なの?」
「あんっ、や、じゃあない♡ もっとお♡ 奥、おくう♡ ちょーらい♡」
「僕ももう、そんなっ、もたないよ……」
 泣き言を言いながらかわいい彼は、律儀に最奥を攻め始めた。子宮口にピタリと鈴口をキスさせながら、子宮の全体を揺らすように。ごちゅんごちゅんと、体重をかけて揺さぶる。
「~~~~~~ッッッ♡♡♡」
 赤松が、声にならない叫びを上げる。両足を突っ張らせたままガクガクと壊れてしまったような身体が震える。結合部からは漏らしたようにシーツに染みが広がった。
「楓、かえでっ♡、きもちい? きもちぃ?」
「あんっ、あ♡ お゛あ、お゛お゛♡ あーーーっ、あ゛ぁ♡」
 お伺いを立てる最原の声も届かないほど、赤松はトんでいた。媚肉は雄を決して離すまいとむしゃぶりついて、狂ったように脈動する。キュンキュンと子宮が、身体が、雄の子種を求めて止まないのだ。いつでも精子を吸い上げようと貪欲に収斂を繰り返す子宮の叫びに、赤松は身悶えていた。

「……うつ伏せになれる?」
 最原が声をかけると、赤松は声も出せずにぐったりと、でも言いつけは守って身体を起こす。ペニスの抜けた衝撃にすら身を震わせながら、うつ伏せに寝そべった。
 寝そべった背から、再び、掛け声もなしに怒張を突き立てる。
「はああ~~~~~~ッッッ♡♡♡」
 赤松の腹側、膣の中ほどのザラザラとしたところ、そして奥の奥。良いところ全てを抉って最原は侵入した。
 ずっちゅずっちゅと、品のない水音を立てながら最原が動く。少年一人のために設えられたそう広くはないベッドがぎいぎいと悲鳴を上げる。しかしそんな雑音はもう、二人の耳には届いていない。
「お゛っ♡ お゛おっ♡♡ あっ、お゛おぉ♡♡」
 寝バックの体勢となり、ベッドの支えを失った赤松の臀部がガクガクと揺れる。揺れてずらして、擦って、貪欲にも、気持ちの良いところをまだなお、漁っているのだ。良いところが抉られる度、愛らしいメゾソプラノを潰して喘いだ。
「はあっ♡ あっあ♡ も、出るッッ♡」
 強く、より強く。結合を強めて、最原がのけぞる。最奥に、確実に子種を植え付けんとする本能のまま、射精した。
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ああぁぁぁぁぁーーー♡♡♡♡」
 子宮を押しつぶされて赤松は泣き叫ぶ。
欲しい、欲しい! 終一くんが欲しい!
ただ欲する本能に従って、ぎゅうぎゅうと雄のものを搾り取る。汗にびっしょりと濡れた肩甲骨を波打たせて、シーツに縋り付きながら。馬鹿になったみたいな下腹を引き攣らせて、充足の波が終わりも知らず寄せて返すのに身を任せた。

最原はゆっくりと、いくぶん萎んだ自身のものを、ぬぽ、と音をさせながら引き抜いた。嘘みたいな蛍光ピンクに精液溜めはたぷたぷに白濁を湛えていて、寝る前も含めるともう何度目かもわからないのによくぞこんなに出たものだと、最原は我ながら感心というか、わずかに引いていた。
 視線を感じる。見れば、赤松は恨めしそうな、物欲しそうな上目遣いをしながら、枕を抱きしめていた。
「……いる?」
 尋ねると、バイオレットの瞳が惑うようにギラつく。
 最原は気圧されるように、精液でたっぷりと膨れたゴムを差し出した。赤松はたからもののように受け取ると、口をつける。まるでそれが金のゴブレットであるかのようにうやうやしく蛍光ピンクを手にとって、先端をつまんで傾けた。
いくらか粘度の薄くなった、しかし量のあるそれを、少しずつ、少しずつ、たいせつに口に含んではくちくちと飲み下していく。月夜に照らされて、上下する小さな喉仏が汗できらめく。最後には、指でしごいて、一滴も残さずに飲み干した。
「……ごちそうさまでした」
 ぱちり、と蛍光ピンクを結んでゴミ箱へ放り込むと、手を合わせて赤松は言う。最原は幾度見ても、自分の出したものが目の前で、極上のごちそうのように摂取されるのは慣れないものがあった。

赤松はじっと見る。まだ物足りなさそうな、デザートのプディングをねだる幼子のような目だ。
「……まだ勃ってる?」
「いや流石にもう出ないって」
 最原は焦った。今日だけでもう出し尽くしたほどに精を吐いたそこは、確かにまだ芯を残してはいるが、流石にもう、何にも出ないだろう。
しかし赤松は、あろうことか、萎えかけの最原の中心を握り込んだのだ。
「ちょちょっと、赤松さん?!」
 抗議の声を上げるが赤松は頑なだ。
「試してみようよ……♡」
 そう言って、裏筋の中程を、つつ、と撫でた。好きなところを、しかし今は果てたばかりで過敏になっている箇所を抑えられて、最原はひ、と仰け反った。しかと獲物を捕らえた赤松の眼光は豹のように鋭い。先程まで、ひいひいと剛直に泣いていたのが嘘のよう。
赤松楓は前向きで快活で、復活もまた、早いのだ。
 
赤松はごしごしと容赦なくしごき上げる。ただ、絶頂に導くためだけの、一切の無駄のない動きだ。
「ひあっ♡ やめ、もう♡ ゆるしてぇ♡♡」
 最原は、いやいやと首を振りながら腰を引くが、がっしりと腰骨を掴んだ赤松の腕がそれを許さない。もう空っぽのはずの雄の部分が熱く疼いて、苦しい。しかし彼女を邪険に出来る最原ではなく、結果責め苦に耐え続けるしか道はなかった。
「も♡♡ ほんとにむりっ♡ むり! むり……やだああ! やだやだやらあ♡♡」
「でもちょっと硬くなってきたよ?♡」
「ほんとーーにむりぃ!」
 最原はもう、駄々っ子のようにむり、とやだ、を繰り返した。それでも擦る手は止めてもらえず、甘くて苛烈な刺激を、甘んじて受け入れ続けた。
 腰が壊れてしまったようにガクガクと震え始める。
苦しい、止めたい、つらい、イきたい、でも無理だ、もう、おかしくなってしまう。
そんな支離滅裂な思考がぐるぐると頭の中を巡って、いっぱいいっぱいになって、ぜえはあと漏らす息は荒々しく、縋る先も無くて、シーツが皺になるほどきつく握りしめた。
「や♡ やめっ、なんか出ちゃあ♡♡ 出ちゃうううーーー!」
「いいよ♡ イって、終一くん♡」
 最原が天井を仰ぐ。
「ふああああぁぁぁぁぁ…………♡♡」
 かくかくと肩を震わせながら、最原ははくはく浅い息をする。ふやけた陰茎から、透明の水が勢いよくほとばしって弧を描き、赤松の顔を濡らしながらとめどなく流れ続ける。
「お゛お゛おァ♡ あっ……はあ♡ はああーー♡♡ きもちい♡ お゛っっ♡ きもちいいの、止まんないよお♡♡」
 最原は泣いた。シナプスを焼き切るような未知の快楽に、押し出されるように涙をぽろぽろと流しながら絶頂した。
否、絶頂と呼ぶことすら生ぬるい。終わりの見えない強烈過ぎる悦楽に、恐怖しながら、ただ気持ちいいということしか分からなくなって、がむしゃらになって泣き続けた。
 赤松は、眼下で悶える最原の姿を見て唖然としながら、しかし手を止めることはしなかった。
だって。愛しい終一くんが気持ちよさそうだったから。
「あ゛あ゛あ゛あ゛ああぁぁぁ~~~~…………♡♡」
 水勢がちょろちょろと弱くなり、やがて最原は崩れるようにベッドに倒れこんだ。驚いた赤松が支えようとするが間に合わず、スプリングがぎい、と軋む。
「終一くん? 大丈夫……?」
「ごめん赤松さん、何これ……おしっ、こ……? 顔にかかっちゃった? ティッシュ、どこだっけ……」
 最原はティシュボックスを探し始める。そんな最原の目の前で赤松は、びっしょり濡らされた顔に中指を這わせて拭い取ると、水滴を口に含んだ。
 目を見開く。
それは今まで味わった、どんな最原のものとも違う甘露。さっぱりとしていて癖がなく、それでいて上品な甘さが花畑のようにどこまでも広がる。心の芯まで暖まるような優しい甘さ。それは舐める幸せと評するにふさわしい代物で。これ以上無いくらいの、極上のデザートだった。
「ふふ、ふふふ……ふふふふふふ……終一くんはほんとうに、おいしいなあ……♡」
 そう言って最原をギラついた目で見据えるのだ。最原は息も絶え絶えに、重たい身体で後退りしようとする。しかし狭いベッドに逃げ場など無く、被食者としてその無防備な身体を晒すことしか出来なかった。
「あと。かえで、ね?」
「かえで……」
 ダメ押しとばかりに訂正する赤松に、最原はオウム返しする。最原の肩に二本の細腕が回されて、絡め取られるように抱き寄せられる。そして首筋に、マーキングのようなキスが降らされる。

 これは逃れられないな。最原は直感で思う。無論逃れるつもりもなく、彼女を離すつもりだって毛頭無かった。しかし、身体に刻まれてしまった激烈すぎた快楽と、これ以上無く嬉しそうであった彼女の顔を思うと、気が重いのもまた事実であった。
 最原は幸福と絶望の狭間で、朦朧としながら窓の外を見やる。星の残る東の空はもうすっかりと、白んでいた。