MP100

101人目の僕へ

兄弟要素ありのモブ茂100話と101話の間の話。   1 茂夫(モブ)と茂夫(しげお)◆――やあ、久しぶり。耳元で囁かれた呼び声に驚いて飛び上がる。ことは叶わなかった。我が身を見下ろせば腰から先は黒々とした影法…

繋留

R18 モブ律モブ同軸リバ墓場と夏の終わり。兄さんの精通。  * * *九月第一週、土曜日。今日は新学期の日程を書き出してカレンダーにまとめ、新学期早々、目前に迫った文化祭準備に向けて生徒会メンバーへの仕事割り振りを計画…

兄弟は真夜中の白昼夢を見るか

R18 挿入なしMP100小説の一作目、人生二作目の小説。初期衝動の塊。毛がちょっと生えてる。兄さんは未精通。投稿したい衝動に負けてタイトルはやっつけのあと付け。  *明かりの消えた影山家のキッチンに足を忍ばせて向かう人…

仲良し兄弟

午後17時半。ようやくの下校を見計らって大粒の雨粒を落とし始めた曇天の元、足早に駆ける。こんなのだから置き傘が減らなくて、会議も延長されるのだ。律は心のうちで舌打ちをした。パンクしそうな昇降口の傘立てと取り違えられた傘、そして紛失の絶えない…

保健体育

「ここが陰茎。それで。こっちが睾丸……っと」兄さんは真剣なのかどうなのやら。いまいちその胸の内を伺い知れない、何時も通りな面持ちで、板書を復唱するみたく僕のものをなぞる。頬を擦り付け唇を寄せて、しゃべる息がこそばゆい。「……って。言うのが正…

母さんには内緒

「母さんには内緒ね」わかってるよ。からからに干からびた返事ついでにこくこくと、頷いてみせる。神経質な指先でティッシュを2、3枚掴み取った律が、茂夫の腹を拭っていく。無為に散らされ、呆気なく熱を失った白濁が上手く拭き取られずに塗り拡げられるの…

主導権 無自覚

目覚めのキスは冷徹だった。頬に突き立てられた唇は柔らかと知っているはずなのに、刺さるほどに冷たくて、茂夫はわずか眉をひそめる。眉をひそめただけだった。一平方メートル余の楽園にて、主は動じる様子が無い。目を開くことすら億劫だと言わんばかりにん…

一緒に帰ろう

火照る頬に凍てつく地面が心地よい。よく見知った家の門もこうして見上げてみてみれば、随分珍妙に見えるものだ。見当違いの感想を考えるともなしにぼんやりと、抱く。ひどく眠たい。瞼が鉛のように重い。ひびだらけのアスファルトが底なし沼のよう。飲み込ま…

買い食い

※カップリング(律モブ)匂わせ描写あり 下校途中。ささやかな隠密のために選んだのは、通学路からほんの少し横道にそれたコンビニ。お目当てを手に入れてほくほく顔で店を出た、その瞬間のことだった。「そこの塩中生。止まりなさい」予期せぬ呼…

嘘/嘘つき

※死ネタなぜならば。僕の直面しているものがあまりにも生々しくて。どちらかと言えば「それ」から気を逸したくてたまらなかった。「兄さんは嘘つきなんだね」「なっ……!?」バイトも部活もない、五時限目が終わったばかりのまだ日の高い帰り道。背後に現れ…

茹だるような/炎天下

お盆休みのおばあちゃんちは僕ら兄弟には所在ない。見るからに居心地悪そうな僕達に一言二言、大人たちから話しかけられれば無難な愛想笑いを返しておく。けれども、誰それさんの兄弟のお嫁さんだとかいう、つまりはまるで見知らぬおばさんの猫なで声で、「茂…

アイスキャンデー

「律ー! 早くこっち来いよ!」焼き付くような暑さの中、燃え盛るオレンジ髪の友人はぶんぶんと手を振るう。一体全体、どこからその元気は湧き出てくるんだ。太陽を照り返す海より眩しいトルコブルーの瞳を輝かせ、砂浜を目一杯に蹴り飛ばして跳ねてみせた。…