桜 僕は桜が嫌いだ。兄さんの中学入学の日には風が強かったのを覚えている。生ぬるく頬を舐めては轟轟と吹き抜けてゆく、うんざりするような春の日だった。おろしたての制服に袖を通した兄さんはいつにも増してぎこちなかった。似合うね、と声をかければ兄さんは… 2024-10-17MP100 小説 文章MP100,影山兄弟