金星の体温 空の彼方が赤く染まる暮れ方だった。刻々と暗くなる宿の部屋で、僕たちは町の年老いた錬金術師から借り受けた本を読み漁っていた。特段、目新しい知識も書かれていない本の山に飽き飽きしてふと、兄さんの方を見ると、本に齧り付くように顔を張り付かせて読み… 2024-10-27小説 文章 鋼エドアル,エルリック兄弟